テクノフェランス
てくのふぇらんす ・ Technoference ・ 最終更新 2026-08-11
親がスマホなどに気を取られ、子どもとの関わりが途切れること。日常の小さな中断の積み重ねが、やり取りや子どもの行動に影響しうると報告されています。

テクノフェランスとは
テクノフェランス(technoference)は、マクダニエルとラデスキーらによる造語で、「テクノロジー(technology)」と「干渉(interference)」を合わせた言葉です。デジタル機器による、対面の関わりへの割り込み・中断を指します。
具体的には、子どもと遊んでいる途中で通知を確かめる、食事中にメッセージを返す、話しかけられてもスマホから目を離さない——といった、日常の小さな中断の積み重ねを指します。調査研究では、多くの家庭でこうした中断が日常的に起きていることが報告されています。
これはスマホを責めるための言葉ではありません。育児情報の検索も連絡も家計の管理もスマホで行う時代に、「関わりの中断」という視点から自分の使い方を見直すための概念です。
この言葉が注目される背景には、スマホがテレビなど従来のメディアと違い、「いつでも・どこでも・何度でも」割り込んでくるという特徴があります。ポケットの中の通知は、公園でも食卓でも寝室でも、親の注意を持っていく可能性があります。
なぜ気になるのか
会話の往復(やり取り)が言葉や脳の発達を支えます。中断が増えると応答の質が下がりやすく、トロニックのスティルフェイス実験が示すように、反応が返らない状態は子どもに不安を与えうるためです。
言葉の発達には、子どもの発信に大人がタイミングよく返す「やり取りの往復」が大切だと考えられています。中断が増えると、この往復が細切れになりやすいことが心配されています。
ラデスキーらの観察研究では、食事中に端末に没頭している親は子どもへの応答が減り、やり取りがそっけなくなりがちなことが示されました。また、親が画面に気を取られているとき、子どもが注意を引こうとして行動がエスカレートしやすいという報告もあります。
ただし、この分野の研究の多くは関連を示したもので、「スマホが原因で問題が起きる」という因果関係を証明したわけではありません。もともと余裕のない状況が、スマホの使用と子どもの行動の両方に影響している可能性もあり、「ながらスマホ=発達に悪い」と単純に言い切ることはできません。
「メリハリ」で対処
完全に断つより、食事中・寝る前など「子どもに集中する時間」を決めること。通知を切る、置き場所を決める、話しかけられたら一度顔を上げて応える——小さな工夫がやり取りを守ります。
家庭での工夫の例としては、①食事中と寝る前の30分はスマホを別の部屋に置く、②通知をオフにして「見る時間」を自分で決める、③子どもに話しかけられたら、まず顔を上げてから「ちょっと待ってね」と言う——などがあります。「絶対に見ない」より「見ない時間帯を決める」ほうが続けやすい方法です。
大事な連絡を待っているときは、「今は連絡を待っているから、終わったら遊ぼうね」と言葉で伝えるだけでも、子どもから見た「無視されている」状態とは大きく違います。「今、おばあちゃんに写真を送っているよ」と、何をしているか実況するのも一つの工夫です。
よくある誤解
「スマホを見たら悪い親」ということではありません。四六時中応答し続けることは不可能ですし、その必要もありません。スティルフェイス実験が示したのは「無反応が続き続けることのストレス」であって、日常の短い中断がただちに発達を害するという意味ではありません。
また、テクノフェランスは親だけの問題でもありません。「食卓にはスマホを置かない」のように家族全員のルールとして取り組むほうが、子どもが大きくなってからのメディアルールの土台にもなります。完璧を目指すより、中断しても「ごめんね、なんだっけ」と戻れる、取り戻せる中断にしておくことが現実的な目標です。
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参考にした研究
本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。
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