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共感(認知的共感・情動的共感)

きょうかんCognitive / Affective Empathy ・ 最終更新 2026-08-11

相手の気持ちを「理解する」認知的共感と、「感じ取る」情動的共感の2つの側面があります。いじめを止める力や思いやりの土台になります。

相手の気持ちを理解し、感じ取る共感の働きを、子ども同士のやり取りと科学図解で表したイラスト

2種類の共感

共感には、相手の気持ちや状況を頭で理解する「認知的共感」と、相手の感情を自分も感じ取る「情動的共感」の2つの側面があります。相手の心を推し量る力(心の理論)は、とくに認知的共感と深く関わります。

共感の芽は、生まれて間もない頃から見られます。赤ちゃんが他の赤ちゃんの泣き声につられて泣く「情動伝染」はその原型と考えられており、成長とともに、自分と相手を区別したうえで相手の立場を想像する認知的な側面が育っていきます。2つの側面は別々に働くこともあり、たとえば相手の気持ちを頭では理解できても心が動かない、逆に相手の涙に自分もつらくなるのに理由がうまく分からない、ということも起こります。

子育ての文脈では、共感は「思いやりのある子に育ってほしい」という願いと直結する力です。友だちが転んだときに心配して駆け寄る、悲しんでいる子にそっと寄り添う——そうした行動の背景には、相手の状態に気づき、気持ちを感じ取り、どうすればよいか考えるという一連の心の働きがあります。

いじめを止める力との関係

ヴァン・ノールデンら(2015)は、いじめを止める子が、認知的共感と情動的共感の両方を持っていたことを示しました。相手の状況を理解し、かつその気持ちを感じ取れる子が、傍観者から擁護者へと変わりやすいのです。

また、アイゼンバーグらの一連の研究では、共感が思いやりの行動(向社会的行動)の土台になることが繰り返し示されてきました。ただし、共感の測定は質問紙や観察に頼る部分が大きく、文化や場面によって現れ方が変わるため、「共感が高ければ必ず優しく振る舞う」と単純に言い切れるわけではありません。情動的共感が強すぎると、相手のつらさに巻き込まれて自分が動けなくなる可能性も指摘されています。

家庭で育てる

「もし自分だったらどう感じる?」と相手の気持ちを想像する会話。絵本や日々の出来事を通じて、登場人物や相手の気持ちを言葉にすること。こうしたやり取りが、共感を育てます。

日常の場面では、たとえばきょうだいげんかのあとに「たたかれたとき、どんな顔をしてたかな?」と相手の表情に目を向ける声かけができます。公園で泣いている子を見かけたら、「どうして泣いているのかな」と一緒に考えてみるのも、相手の立場を想像する練習になります。

絵本の読み聞かせも、共感を育てる身近な機会です。「このとき、くまさんはどんな気持ちだったと思う?」と問いかけ、子どもの答えを否定せずに受け止めます。正解を当てるクイズにするのではなく、「そう感じたんだね」といろいろな見方を認めることが、気持ちを想像する柔らかさにつながります。

注意したいのは、「相手の気持ちを考えなさい」と叱る形で共感を求めても、子どもは萎縮するだけで気持ちを想像する余裕を失いやすいことです。まず子ども自身の気持ちが落ち着いてから、穏やかな場面で一緒に振り返るほうが、共感の練習として実になりやすいと考えられます。

よくある誤解

「共感力は生まれつきで変わらない」と思われがちですが、共感は経験や関わりを通じて育っていく力だと考えられています。気持ちを言葉にしてもらう経験や、自分の気持ちを受け止めてもらう経験の積み重ねが、相手の気持ちへの感度を育てます。

「共感=相手に合わせて我慢すること」という誤解もあります。共感は、自分を押し殺して相手に従うことではなく、相手の気持ちを理解したうえで、自分はどうするかを考える力です。自分の気持ちも同じように大切にできることが、健やかな共感の前提になります。

また、子どもに共感を教え込もうとする前に、大人が子どもの気持ちに共感して見せることが出発点になります。「悔しかったね」「びっくりしたね」と気持ちを言葉で返してもらう経験そのものが、子どもにとっての共感のお手本になるのです。

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参考にした研究

本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。

運営: 合同会社5マイクロ / 監修: 子育てエビデンス研究所

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