予期不安
よきふあん ・ Anticipatory Anxiety ・ 最終更新 2026-08-11
これから起こるかもしれない怖いことを考えて、不安が高まる状態。不安を避け続けると強まりやすく、段階的に慣れる支援と相性があります。

予期不安とは
予期不安は、まだ起きていない出来事について「怖いことが起きるかも」「失敗するかも」と考え、不安が高まる状態です。発表、登校、病院、初めての場所、友だち関係などで起こります。
不安そのものは自然な反応ですが、避けることで一時的に楽になる経験が続くと、「避けないと危ない」という学習が強まり、不安が長引くことがあります。
先のことを想像して備える力は、本来は危険を避けるための大切な働きです。予期不安は、その備えの働きが強く出すぎて、実際に起こりそうなことよりも「怖い予想」のほうが大きくふくらんでいる状態と考えることができます。
研究でわかっていること
子どもの不安への支援としては、認知行動療法(CBT)の研究が積み重ねられており、苦手な場面に少しずつ段階的に慣れていく方法(エクスポージャー)の有効性が報告されています。「避け続けるほど不安が維持されやすい」という仕組みは、多くの研究で共有されている考え方です。
ただし、どの程度の不安が「自然な範囲」かは、年齢や場面によって異なります。入園・入学の直後や、行事・発表の前に不安が高まるのは多くの子どもに見られる姿であり、予期不安があること自体がすぐに問題というわけではありません。
親の関わりについても研究があり、親が心配のあまり不安の種を先回りで取り除きすぎる関わりが、意図せず不安の維持につながる場合があることも示唆されています。親を責めるための知見ではなく、「手伝い方の方向を少し変えるヒント」として知られています。
どう困るのか
前の日から眠れない、何度も確認する、腹痛や頭痛を訴える、直前に泣く・怒る・固まるなどの形で表れることがあります。本人も「行きたいのに怖い」という矛盾した気持ちを抱えていることがあります。
たとえば、運動会の1週間前から「行きたくない」と言い出す、日曜の夜になるとおなかが痛くなる、発表の順番が近づくとトイレに何度も行く、といった形で見えることがあります。体の症状として出ているときは、本人も理由をうまく言葉で説明できないことが少なくありません。
家庭でのヒント
安心させようとして完全に避け続けるより、小さな段階に分けて近づくことが役立つ場合があります。たとえば「校門まで行く」「先生に挨拶だけする」「5分だけ教室に入る」のように、できる一歩を設計します。
「怖くないよ」と否定するより、「怖い気持ちはあるね。そのうえで最初の一歩を小さくしよう」と扱います。不安が強く生活に支障がある場合は、専門機関に相談してください。
子どもが不安を話してきたときは、まず「そう感じているんだね」と受け止め、「一番心配なのはどの部分?」と具体化を手伝います。漠然とした不安より、具体的な心配のほうが対策を考えやすくなります。うまくいった小さな一歩は、「昨日は校門まで行けたね」と言葉にして一緒に確認すると、次の一歩の支えになります。
本番の前に、家で小さくリハーサルしてみるのも役立ちます。発表のセリフを家族の前で一度言ってみる、病院ごっこで診察の流れを体験しておくなど、「知っている」「やったことがある」を増やすことが、怖い予想のふくらみを和らげる助けになります。
よくある誤解と、相談の目安
「励ませば治る」「放っておけば自然に消える」とは限りません。また、「不安がるのは気が弱いから」でもありません。不安の感じやすさには気質による個人差があり、本人の努力不足ではありません。一方で、親が先回りしてすべての不安の種を取り除いてしまうことも、長い目で見ると、子どもが不安への対処を学ぶ機会を減らしてしまう可能性があります。
眠れない日が続く、腹痛や頭痛が繰り返される、登園・登校が難しくなるなど、生活への支障が数週間続く場合は、家庭だけで抱え込まず、小児科、児童精神科、スクールカウンセラーなどの専門機関に相談することをおすすめします。早めに相談すること自体が、子どもと家族の安心につながります。
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参考にした研究
本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。
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