「ぼーっとする時間」の脳科学 — デフォルトモードネットワークと子どものこころ
投稿日 2026-06-21 ・ 更新日 2026-06-21 ・ 約5分で読めます
予定をびっしり詰めるより、何もしない「ぼーっとする時間」にこそ意味がある——脳科学はそう示しています。何もしていないように見えるとき、脳は「デフォルトモードネットワーク」を働かせ、記憶の整理や自分を見つめる作業をしています。退屈や空想の価値を整理しました。

「何もしない脳」は、休んでいない
レイクルら(2001)は、人がぼーっとして特に課題をしていないときに、かえって活発に働く脳のネットワークを見つけ、「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と名づけました。
DMNは、過去の出来事を思い返す、自分について考える、人の気持ちを想像する、未来を思い描く——といった「内側に向かう活動」に関わります。ぼーっとしている間も、脳は経験を整理し、「自分」という感覚を育てているのです。
退屈・空想が、創造性や自己理解を育てる
イモルディーノ=ヤンら(2012)は、休息や内省の時間が、DMNを通じて子どもの社会性や道徳的な思考、物事の意味づけの力を育てると指摘しました。常に外からの刺激にさらされていると、この内向きの大切な作業が起きにくくなります。
退屈は「悪」ではありません。手持ちぶさたな時間が、空想や工夫、「次に何をしよう」という主体性を呼び起こすという指摘もあります(Mann ほか)。
「予定の詰めすぎ」と「常時刺激」に注意
習い事や動画で隙間なく埋めるより、ぼんやりする余白を残すこと。散歩、寝る前のごろごろ、何も持たない待ち時間——そうした「空白」が、脳の整理整頓の時間になります。
退屈を訴える子に、すぐ刺激(動画など)で埋めてあげるより、「退屈から何が生まれるか」を少し見守ることにも価値があります。
今日からできること
- 予定を詰め込みすぎず、何もしない「余白の時間」を意識して残す。
- 「退屈」をすぐ動画などで埋めず、空想や工夫が生まれるのを待つ。
- 散歩や寝る前など、刺激の少ないぼんやり時間を日常に取り入れる。
参考にした研究
各研究について、日本語の解説記事と、原典(英語論文)を探せる Google Scholar 検索へのリンクを掲載しています。
- Raichle et al., 2001(デフォルトモードネットワーク) / 原典を探す(Google Scholar)
- Immordino-Yang et al., 2012(休息・内省と発達) / 原典を探す(Google Scholar)
- Mann(退屈と創造性) / 原典を探す(Google Scholar)
関連する用語解説
本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。
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