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ワーキングメモリ

わーきんぐめもりWorking Memory ・ 最終更新 2026-08-11

必要な情報を一時的に頭の中に保ちながら使う力。実行機能の柱の一つで、指示の理解・暗算・会話など、学びと生活の土台になります。

子どもが形や順番を頭に保ちながら考える、ワーキングメモリを科学的に表したイラスト

ワーキングメモリとは

ワーキングメモリとは、必要な情報を短い間だけ頭の中に保ちながら、それを使って考えたり作業したりする仕組みです。心の中の「作業机」のようなもので、机が広いほど一度にたくさんの情報を扱えます。

「言われた指示を覚えて順番に行動する」「途中の数を覚えながら暗算する」「話の流れを覚えながら聞く」——こうした場面で絶えず働いています。バドリーら(1974ほか)が提唱したモデルが広く知られています。

ワーキングメモリは年齢とともに少しずつ大きくなりますが、大人でも一度に保てる量には限りがあります。子どもの場合はさらに小さく、「さっき言ったのにもう忘れている」ということがよく起こります。これはやる気や態度の問題ではなく、「作業机の広さ」の問題であることが少なくありません。

日常でつまずきが見えやすいのは、「3つお願いしたのに1つしかできていない」「音読で行を飛ばす」「連絡帳を書き写すのに時間がかかる」といった場面です。本人は真面目に取り組んでいても、机から情報がこぼれてしまうと、結果として「聞いていない」「雑にやっている」ように見えてしまうことがあります。

学びとの深い関わり

ギャザコールら(2004ほか)は、ワーキングメモリの大きさが、読み書きや算数の習得と強く関わることを示しました。容量には個人差があり、その差が学習のつまずきに表れることもあります。

ただし「鍛える脳トレ」で大きく伸ばすのは難しいとされ、むしろ環境の工夫(情報を減らす・支える)のほうが現実的だと考えられています。メルビー・レルボーグらのメタ分析では、訓練した課題そのものは上達しても、学力など生活全体への効果は小さいことが示されています。

また、こうした研究の多くは「関連がある」ことを示すもので、ワーキングメモリの小ささが学習のつまずきの唯一の原因だと決まったわけではありません。注意の向け方や不安、経験の差など、他の要因が絡んでいることもあります。気になるときは、一つの説明に飛びつかず、子どもの様子を多面的に見ることが大切です。

家庭で支えるコツ

指示は一度にひとつ、短く伝える。やることをメモや絵にして「外に出しておく」。手順を一緒に確認する——こうした工夫は、限られた作業机の負担を減らします。

たとえば朝の支度なら、「着替えて、歯をみがいて、水筒を持って」と一度に言うのではなく、「まず着替えようね」と一つずつ伝え、終わったら次を伝えます。持ち物は絵や文字のチェック表にして玄関に貼っておくと、頭の中だけで覚えておく負担がぐっと減ります。

読み聞かせや音読の途中で「ここまでどんなお話だったっけ?」と軽くふり返るのも、内容を頭に保ちながら聞く自然な練習になります。クイズのように楽しく、思い出せなくても責めないことがコツです。

睡眠不足や強いストレスはワーキングメモリを一時的に下げます。生活リズムを整えることも、見えにくいけれど大切な支えになります。

よくある誤解

「ワーキングメモリが小さい=頭が悪い」という見方は誤解です。ワーキングメモリは知的な働きの一つの側面にすぎず、発想力や粘り強さ、人とかかわる力とは別のものです。容量が小さめでも、メモや道具、伝え方の工夫で補えば、学びは十分に進んでいきます。

「小さいうちに測って決めつける」のも避けたいところです。ワーキングメモリは発達とともに伸びていきますし、その日の体調や緊張によっても働きは変わります。一度の様子だけで「この子は苦手」と結論づけず、時間をかけて見ていくことが大切です。

また、「何度も言えば覚えるはず」と繰り返し叱っても、容量そのものは増えません。忘れるのはわざとではなく、机からこぼれ落ちてしまっただけ。「忘れるのが前提」で仕組みを作るほうが、親子ともにストレスが減り、結果として身につくことも多くなります。

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参考にした研究

本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。

運営: 合同会社5マイクロ / 監修: 子育てエビデンス研究所

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