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アンダーマイニング効果

あんだーまいにんぐこうかUndermining / Overjustification Effect ・ 最終更新 2026-08-11

もともと楽しんでやっていたことにごほうびを与えると、かえって「自分からやりたい」という意欲が下がってしまう現象。

楽しんで絵を描く子どもと外からのごほうびが、やる気の変化として図解されたイラスト

どんな現象か

アンダーマイニング効果とは、内発的に楽しんでいた活動に対して、お金や物などの外的なごほうびを与えると、ごほうびがないときよりも自発的なやる気が下がってしまう現象です。「過正当化効果」とも呼ばれます。

レッパーら(1973)は、お絵かきを楽しんでいた子に「描いたらごほうび」を約束すると、その後ごほうびがないときに自分から描かなくなったことを示しました。

身近な例でいえば、好きで本を読んでいた子に「1冊読んだらシール1枚」と決めたら、シールがもらえない本は読まなくなった。進んでお手伝いしていた子に毎回お小遣いをあげるようにしたら、「今日はいくら?」と聞くようになった——そんな変化が、この現象のイメージに近いものです。

この現象が注目されるのは、子育てや教育では「ごほうびで動かす」方法がとても手軽で、つい頼りたくなるからです。短期的には行動が増えて見えるのに、長期的には自発性が細ってしまうかもしれない——そのギャップに光を当てた点で、大きな意味を持つ知見といえます。

なぜ起きるのか

「好きだからやっていた」はずの行動に外的な理由(ごほうび)が加わると、「ごほうびのためにやっている」と感じ方が変わってしまうためと考えられています。デシら(1999)のメタ分析でも、特に物の報酬で起こりやすいことが示されています。

一方で、この効果がどのくらい強く・広く起こるかについては、研究者の間で長く議論が続いてきました。「あらかじめ約束された物のごほうび」で起こりやすく、頑張りを認める言葉かけではむしろ意欲が上がることも多い、というのがおおまかな整理です。条件しだいで結果が変わる現象だと知っておくことが大切です。

子育てでの活かし方

すべてのごほうびが悪いわけではありません。やる気のない活動を始めるきっかけには役立つこともあります。ただし、すでに楽しんでいることにごほうびを足すと、楽しさが目減りしかねない——この点を知っておくと、関わり方の判断に役立ちます。

目安としては、子どもがすでに夢中でやっていること(お絵かき、読書、虫探しなど)には、物のごほうびをあえて足さないこと。代わりに「その色の組み合わせ、きれいだね」と関心を向けたり、作品を飾ったりするほうが、楽しさを守れます。

逆に、なかなか始められないこと(片づけ、歯みがきなど)では、最初のきっかけとしてシールやスタンプを使い、習慣になってきたら少しずつ減らして、「できたね」「気持ちいいね」という実感に置き換えていく——そんな使い分けが現実的です。

「お手伝いにお小遣いを出すか」も、この観点で考えられます。家族の一員としての日常の手伝いには感謝の言葉で応え、特別な仕事には報酬を出す、と分ける家庭もあります。正解は一つではありませんが、「感謝や達成感が主役、お金は脇役」という順番を保つのが一つの目安です。

よくある誤解

「ごほうびは全部逆効果」というのは誤解です。この現象が起こりやすいのは「もともと好きでやっていたことに、物のごほうびを約束したとき」で、興味のない活動への後押しや、努力を認める言葉かけまで否定するものではありません。

また、「一度ごほうびを使ったらもう手遅れ」ということもありません。ごほうびを卒業しながら、活動そのものの手ごたえや楽しさに目を向け直していけば、内側のやる気は育て直せると考えられています。大切なのは、ごほうびを使うかどうかより、子どもの「楽しい」「やりたい」を主役にし続けることです。

なお、この分野の研究は短期間の実験が中心で、家庭での長期的な影響を直接調べたものは多くありません。だからこそ、「絶対のルール」としてではなく、「知っておくと関わり方のヒントになる視点」として使うのが、ちょうどよい距離感だといえます。

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参考にした研究

本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。

運営: 合同会社5マイクロ / 監修: 子育てエビデンス研究所

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