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自己肯定感

じここうていかんSelf-esteem ・ 最終更新 2026-08-11

自分を価値ある存在として受け止める、肯定的な感情。大切な土台ですが、「高ければ高いほど良い」わけではないことも分かってきました。

子どもがありのままの自分を受け止め、自己肯定感を育てていく様子を表したイラスト

自己肯定感とは

自己肯定感とは、自分自身を肯定的に受け止め、「これでいい」と思える感覚(自尊感情)です。ローゼンバーグの尺度などで測られてきました。心の安定の土台とされます。

日本語では「自己肯定感」という言葉が広く使われますが、研究の世界では「自尊感情(self-esteem)」として、ローゼンバーグの尺度(1965)などを用いて長く測定・研究されてきました。「私は自分に満足している」「自分には良いところがある」といった項目に答える形式が代表的です。

近年の日本では、国際比較で日本の子ども・若者の自己肯定感の低さが話題になり、「自己肯定感を高める子育て」への関心が高まっています。ただし、質問への答え方には文化差(謙遜の習慣など)も影響するため、数字の比較は慎重に見る必要があります。

なお、似た言葉に「自己効力感(この課題ならやれそうだという見通し)」があります。自己肯定感が「自分という存在」への評価であるのに対し、自己効力感は「特定の課題」への見通しであり、研究上は区別されます。

「高ければ良い」わけではない

バウマイスターら(2003)の大規模なレビューは、自尊心の高さが学業成績や仕事の成功の「原因」になるとは言えず、むしろ良い結果が自尊心を高める面が大きいと結論づけました。

根拠のない過剰な称賛は、かえって打たれ弱さにつながることもあります(大げさなほめの研究)。「すごい」と中身なくほめ続けるより、ありのままを受け止めることが大切です。

ブルンメルマンらの研究では、自己肯定感の低い子ほど大人から大げさなほめ言葉(「信じられないくらい上手!」)を受けやすく、そうしたほめを受けた子は失敗を恐れて難しい課題を避けやすくなる可能性が示されました。良かれと思ったほめが、逆に働くことがあるのです。

育て方

安心できる関係(愛着)と、「できた」という経験(自己効力感)の積み重ねが、地に足のついた自己肯定感を育てます。結果や能力をほめるより、工夫や過程を具体的に認めることが土台になります。

日常の場面では、たとえば絵を見せてきたときに「天才だね!」と評価するより、「この色の組み合わせ、こだわったんだね」と見たままを言葉にする。テストの点が悪かったときに励ましを急ぐより、まず「悔しかったね」と気持ちを受け止める。何かができてもできなくても、おやすみ前の時間はゆったり関わる。こうした積み重ねが、「条件つきでない安心感」を育てます。

失敗したときの関わりも重要です。「失敗しても、あなたの価値は変わらない」というメッセージが伝わっていれば、子どもは挑戦を恐れにくくなります。結果と存在を切り分けて受け止めることが、土台になります。特別なプログラムや教材は必要ありません。日々の会話の中で、気持ちを受け止めてもらえる経験を重ねることが、いちばんの近道だと考えられます。

よくある誤解

「ほめればほめるほど自己肯定感は上がる」というのは、研究的には支持されていない考え方です。中身のない称賛の積み増しより、安心できる関係と現実の小さな成功体験のほうが、安定した自己肯定感につながると考えられています。

「自己肯定感が高ければ全部うまくいく」も誤解です。バウマイスターらのレビューが示したように、自尊心と成果の関係は「原因」というより「結果」の面が大きく、自己肯定感だけを直接高めようとするアプローチには限界があります。近年の「自己肯定感ブーム」には、研究の裏づけを超えた期待が乗りやすい点に注意が必要です。

「叱ると自己肯定感が下がるから叱れない」と悩む必要もありません。行動を注意することと、存在を否定することは別です。「あなたが嫌いなのではなく、この行動が危ないから止める」という区別が伝わっていれば、必要な注意が自己肯定感を壊すとは考えにくいでしょう。

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参考にした研究

本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。

運営: 合同会社5マイクロ / 監修: 子育てエビデンス研究所

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