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自己効力感

じここうりょくかんSelf-efficacy ・ 最終更新 2026-08-11

「自分はこれをやり遂げられそうだ」という見通し・自信。困難に挑む意欲や粘り強さを支えます。自己肯定感(自分への肯定的な感情)とは別の概念です。

子どもが小さな成功を積み重ね、自己効力感を育てていく様子を表したイラスト

自己効力感とは

自己効力感とは、バンデューラが提唱した、ある課題について「自分はできそうだ」と思える見通しのことです。自分全体への肯定的な感情(自己肯定感)とは異なり、「この場面でやれそうか」という、より具体的な感覚を指します。

たとえば「自分は逆上がりができそうだ」「明日の発表はうまく話せそうだ」といった、場面ごとの見通しが自己効力感です。同じ子でも、算数には高く、水泳には低い、ということが普通にあります。この「場面ごと」という点が、自分全体を対象とする自己肯定感との大きな違いです。

バンデューラは1977年にこの概念を提唱し、その後の社会的認知理論の中心に据えました。自己効力感は、行動を始めるか、どれだけ努力するか、困難でどれだけ粘るかを左右する要因として、教育・健康・スポーツなど幅広い分野で研究されています。

なぜ大切か

自己効力感が高いと、難しいことにも挑戦し、失敗しても粘りやすくなります。バンデューラは、①小さな成功体験、②人の成功を見ること(モデリング)、③励まし、④心身の状態、の4つが自己効力感を高めると整理しました。

4つの源の中でも、①の「実際にやり遂げた経験(遂行体験)」が最も強い影響を持つとされます。言葉の励ましだけで自信を持たせようとしてもなかなか続かないのは、このためです。また、④の心身の状態も見落とせません。寝不足や緊張で体が重いと、「できなさそう」という感覚が強まります。

ただし、自己効力感の研究の多くは自己報告に基づいており、実際の能力とのずれ(過信・過小評価)をどう扱うかなど、測定上の課題も議論されています。「高ければ高いほどよい」と単純に考えるより、実力と釣り合った見通しを持てることが大切だと考えるのが現実的です。

家庭で育てる

「できた」という小さな成功を積ませること。手伝いすぎず、自分でやり遂げる経験を大切にすること。「すごい」と能力をほめるより、工夫や過程を具体的に認めることが、地に足のついた自信を育てます。

具体的には、課題を小さく分けることが有効です。逆上がりならまず「布団の上で回る感覚」から、自転車ならまずペダルなしのバランスから。「少しがんばれば届く」段差を用意することで、成功体験を積みやすくなります。

モデリングの活用もできます。同じくらいの年の子ができている様子を一緒に見ると、「あの子ができるなら自分も」と感じやすくなります。親が失敗しながら挑戦する姿を見せるのも、良いお手本になります。励ますときは、「あなたならできるよ」と根拠なく言うより、「昨日より長くバランスが取れてたよ。だから次は行けると思う」と、事実に基づいた励ましのほうが効きやすいと考えられています。

また、園や学校の行事は自己効力感を育てる機会になります。発表会や運動会の前に「去年は最後まで踊れたね」と過去の遂行体験を思い出させることは、本番への「できそう」という感覚を支える関わりの一つです。

よくある誤解

「自己効力感=自信満々な性格」ではありません。自己効力感は場面ごとの見通しであり、性格特性ではないため、経験によって領域ごとに育てることができます。自己肯定感と混同されがちですが、「自分はこの課題をやれそうだ」(自己効力感)と、「自分はこれでいい」(自己肯定感)は別の概念で、支え方も異なります。

「失敗させないことが自信を守る」というのも誤解です。挑戦の機会を先回りして奪うと、「やり遂げた」という最も強い源が得られません。安全を確保したうえで、小さくつまずき、立て直す経験こそが、地に足のついた見通しを育てます。

また、自己効力感は万能の予測因子でもありません。実際の成果には、本人の技能、環境、運など多くの要因が関わります。あくまで「挑戦と粘りを支える土台の一つ」として捉えるのが適切です。

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参考にした研究

本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。

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