HSP(感覚処理感受性)
えいちえすぴー ・ Highly Sensitive Person / Sensory Processing Sensitivity ・ 最終更新 2026-06-13
周囲の刺激や他者の感情を、人より深く・強く受け取りやすい性格特性。アーロンが提唱した「感覚処理感受性(SPS)」のことで、医学的な診断や障害ではありません。
HSP(感覚処理感受性)は性格特性であり、医学的な診断・障害ではありません。このページは一般的な情報です。困りごとが強い場合は、自己判断せず専門機関にご相談ください。

HSPとは
HSPは、心理学者アーロンが提唱した「感覚処理感受性(SPS)」を、分かりやすく表した言葉です。音・光・人の感情などの刺激を、深く・強く処理しやすい生まれつきの性格特性で、人口の15〜20%程度と推定されています。性格の自然な個人差であり、障害ではありません。
強みと、疲れやすさ
細やかに気づく、共感力が高い、深く考える、といった強みがある一方で、刺激の多い環境では疲れやすい面もあります。落ち着いた良い環境では、特に力を発揮しやすいとも言われます。
どのようなタイプがあるか
HSP(感覚処理感受性)そのものは診断名ではなく、刺激を深く処理しやすい性格特性です。ただ、日常の困りごとは「どの感覚がつらいか」と「どう反応しやすいか」に分けると整理しやすくなります。
感覚の種類としては、音(教室のざわざわ、チャイム、掃除機)、光(蛍光灯、まぶしさ)、触覚(服のタグ、肌ざわり、給食の食感)、におい、味、体の動きや姿勢、空腹・疲労など体の内側の感覚があります。
反応のパターンとしては、刺激を強く感じて避けたくなる「過敏・回避」、刺激に気づきにくい「低反応」、落ち着くために動く・触る・噛むなどの入力を求める「感覚探求」があります。HSPと呼ばれる子は過敏が目立つことが多い一方、感覚探求が混ざることもあります。
どのように困るのか
音に敏感な子は、授業中のざわつきや運動会の音、給食時間の食器音で疲れやすくなります。本人は「うるさい」と言っていても、周囲にはわがままに見えてしまうことがあります。
触覚に敏感な子は、服のタグ、靴下の縫い目、制服の素材、手が汚れる活動、給食の食感が苦手になることがあります。光やにおいに敏感な子は、蛍光灯、日差し、香料、給食室のにおいで集中しにくくなることがあります。
感覚探求がある子は、授業中に何かを触る、椅子を揺らす、鉛筆を噛む、体を動かしたくなることがあります。これは「ふざけている」だけでなく、体を落ち着かせるための自己調整になっている場合があります。
具体的な対策例
音がつらい場合は、イヤーマフやノイズを減らす耳栓を「必要な場面だけ」使えるようにします。常に完全に遮断するより、掃除機、避難訓練、体育館、給食時間など負荷が高い場面を決めて使うほうが、生活とのバランスを取りやすくなります。
授業中に手を動かすと落ち着く子には、音が出にくい小さな握り物、消しゴム、やわらかいグリップ、布の切れ端などを「見る・聞く邪魔にならない範囲」で認める方法があります。目的は遊ぶことではなく、体を落ち着かせて授業に参加しやすくすることです。
触覚がつらい場合は、タグを切る、肌ざわりの合う服を選ぶ、苦手な素材を避ける、手が汚れる活動では手袋や道具を使うなどの調整が役立つことがあります。光がつらい場合は、席を窓際や蛍光灯の直下から外す、帽子や薄い色つきレンズを検討するなど、環境側を少し変えます。
学校では、「我慢できるか」ではなく、「参加しやすくするために何を調整するか」と考えるのがポイントです。担任、養護教諭、スクールカウンセラー、必要に応じて作業療法士などと相談し、家庭だけで抱え込まないようにします。
注意したいこと
HSPは医学的な診断ではなく、自己診断テストで安易にラベルを貼るのは禁物です。感覚過敏は自閉スペクトラム症、ADHD、不安、睡眠不足、体調不良などでも見られ、HSPと混同されやすいことがあります。困りごとが強い場合は、HSPと決めつけず、専門機関にご相談ください。
感覚への配慮は、すべての刺激を避けることではありません。避けるだけで生活範囲が狭くなる場合もあるため、本人が安心できる逃げ道を用意しながら、少しずつ参加しやすい条件を探すことが大切です。
関連する読み物
参考にした研究
- Aron & Aron, 1997(感覚処理感受性)
- Greven et al., 2019(SPSの総説)
- Dunn, 1997(感覚処理パターンのモデル)
- Zimmer & Desch, 2012(感覚統合療法への慎重な見方)
- Pluess(環境感受性)
本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。
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