しなやかマインドセット(成長マインドセット)
しなやかまいんどせっと ・ Growth Mindset ・ 最終更新 2026-08-11
「能力は努力や工夫で伸ばせる」という考え方。「能力は生まれつきで変わらない」とする硬直(固定)マインドセットと対比されます。

2つのマインドセット
心理学者のドゥエックは、人が能力をどうとらえているかを2つに整理しました。「能力は努力で伸ばせる」と考えるのがしなやかマインドセット(成長マインドセット)、「能力は生まれつきで変わらない」と考えるのが硬直マインドセットです。
しなやかマインドセットの子は、難しい課題を成長の機会と受け止め、失敗しても粘り強く取り組みやすいとされています。
なお、同じ子でも場面によってマインドセットは揺れ動きます。算数では「やればできる」と思えるのに、絵では「自分には才能がない」と感じている、ということも珍しくありません。「どちらのタイプの子か」を決めつけるものではなく、考え方のクセとして捉えるのが適切です。
この考え方の背景には、「脳は使い方しだいで変わり続ける」という研究の蓄積があります。新しいことを練習すると、脳の中では神経のつながりが変化していきます。「頭の良さは固定ではない」という見方には、こうした裏づけがあるのです。
ほめ方との関係
ミュラーとドゥエック(1998)の実験では、「頭がいいね」と能力をほめられた子は失敗で意欲を失いやすく、「よく頑張ったね」と努力・過程をほめられた子は挑戦を好みました。日々のほめ方が、マインドセットに影響します。
能力をほめられ続けると、子どもは「賢く見えること」を守ろうとして、失敗しそうな挑戦を避けやすくなると考えられています。一方、工夫や過程に目を向けられた子は、失敗を「能力の否定」ではなく「やり方を変えるサイン」として受け取りやすくなります。
家庭での例・活かし方
テストで思うような点が取れなかったとき、「向いてないのかもね」ではなく「どこでつまずいたか、一緒に見てみようか」と声をかける。結果そのものより、原因と次の工夫に話題を向けるのが基本の形です。
逆上がりや自転車の練習なら、「まだできない」ではなく「まだ、できていないだけ」と伝え、前回からの小さな変化(手の位置が良くなった、こぐ回数が増えた)を具体的に言葉にします。伸びている実感が、挑戦を続ける力になります。
大人自身の姿も影響します。親が「私は料理が下手だから」と決めつける姿より、「今日は失敗したから、次はレシピを変えてみよう」と工夫する姿を見せることが、何よりのメッセージになります。完璧な親を演じるより、学び続ける大人の背中を見せるほうが効果的だと考えられます。
「まだ」という言葉を口ぐせにするのもおすすめです。「できない」で終わらせず「まだできない」と言い換えるだけで、「いつかできる途中にいる」という見方が自然に伝わります。また、ゲームの攻略に何度も挑戦する姿など、子どもがすでに「しなやか」に振る舞っている場面を見つけて、「今の工夫、いいね」と言葉にするのも効果的です。
誤解されやすい点に注意
「とにかくほめればよい」「気持ちの問題」と単純化されがちですが、それは誤解です。シスクら(2018)のメタ分析では、マインドセットの効果は限定的で、万能ではないことも示されています。
また、「努力さえすれば何でもできると教えるべきだ」というのも誤解です。結果につながらない努力を根性で続けさせることは、本来の考え方とは違います。ドゥエック自身も、努力だけでなく「新しいやり方を試すこと」「人に助けを求めること」の大切さを強調しています。
「マインドセットを変えれば成績が大きく上がる」といった宣伝文句にも注意が必要です。研究では、効果が見られたのは主に学習に苦戦している生徒など一部で、平均的な効果は小さいとされています。土台となる学習環境や教え方があってこそ、考え方の変化も生きてきます。
大切なのは、結果ではなく工夫や過程に目を向け、失敗を学びの一部として扱う関わりを、地道に続けることです。
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参考にした研究
本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。
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