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主体性(エージェンシー)

しゅたいせいAgency ・ 最終更新 2026-08-11

自分の人生や行動を、自分で考えて選び、動かしていく力・姿勢。「やらされる」のではなく「自分ごと」として取り組む感覚です。

子どもが自分で選び行動する主体性を、分かれ道と支える大人で表したイラスト

主体性(エージェンシー)とは

主体性(エージェンシー)とは、自分の意思で目標を定め、選び、行動し、その結果に責任を持つ力です。OECDの「ラーニング・コンパス(Education 2030)」では、これからの時代に育てたい中心的な力として「生徒のエージェンシー」が掲げられています。

ここでの主体性は、「大人の指示にすばやく従える」ことでも、「何でも一人でやる」ことでもありません。自分なりの見通しを持って選び、結果を引き受け、必要なら助けも求められる——そうした「自分の行動のハンドルを自分で握っている」感覚と力を指します。

バンデューラも、人間を環境に反応するだけの存在ではなく、意図を持って自分の行動と環境に働きかける「エージェント(行為主体)」として捉える理論を展開しており、主体性は心理学の大きなテーマの一つです。

自律性・自己決定理論との関係

自己決定理論でいう「自律性(自分で選んでいる感覚)」と深く関わりますが、主体性はより広く、「自分の人生を自分で動かしていく」姿勢全体を指します。指示や報酬で動かされるのではなく、自分ごととして関わることが核になります。

自己決定理論の研究では、自律性・有能感・関係性という3つの心理的欲求が満たされると、内側からのやる気が育ちやすいことが繰り返し示されてきました。主体性を育てたいとき、この3つは実用的なチェックポイントになります。「自分で選べているか」「できそうと感じられているか」「安心できる関係の中にいるか」です。

ただし、エージェンシーという概念自体は教育政策の文脈で使われることが多く、厳密な測定や効果検証はまだ発展途上です。「主体性を測って伸ばす」と単純に考えるより、日々の関わりの方向性を示す羅針盤として捉えるのが現実的でしょう。

家庭で育てる

小さな選択を子どもに委ねること。失敗も含めて、自分で決める経験を積ませること。先回りしすぎず、本人の「やってみたい」を尊重することが、主体性を育てます。

具体的には、朝の服選びで「今日はどっちのシャツにする?」と2択を渡す。休日の過ごし方を家族会議で子どもにも発言してもらう。買い物で「予算300円でおやつを選ぶ」役割を任せる。どれも小さなことですが、「自分の選択が現実を動かす」経験の積み重ねになります。

選ばせたあとの関わりも大切です。子どもの選択がうまくいかなかったとき、「だから言ったでしょ」と言いたくなりますが、そこで責められると、子どもは選ぶこと自体を避けるようになります。「やってみてどうだった?次はどうする?」と、失敗を次の選択の材料に変える伴走が、主体性を支えます。

また、「早くして」と急かす場面が多いほど、子どもが自分で考えて動く余白は減っていきます。すべては無理でも、時間に余裕のある休日だけでも、子どものペースで決めて動ける時間を確保できると、選ぶ経験の総量が増えます。

よくある誤解

「主体性を尊重する=何でも子どもの好きにさせる」というのは誤解です。安全や生活の枠組みは大人が責任を持って整えたうえで、その枠の中で本物の選択肢を渡すことが、現実的な主体性の育て方です。枠のない自由は、子どもにとってむしろ不安のもとになります。

「うちの子は指示待ちで主体性がない」と性格のように捉えるのも早計です。指示待ちは、失敗を責められる経験や、選んでも覆される経験の積み重ねから生まれる「学習された行動」であることが少なくありません。環境が変われば、行動も変わりうると考えられます。

なお、主体性は一人で完結する力ではありません。OECDの枠組みでも、周囲との関係の中で発揮される「共同エージェンシー」という考え方が示されており、人に頼ること・協力することと主体性は両立します。

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参考にした研究

本記事は子育て世代向けの一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・個別の専門的助言を 提供するものではありません。お子さんの発達・健康・心理に関する個別の判断が必要な場合は、 小児科医・心療内科医・臨床心理士・学校・自治体の相談窓口など、専門機関にご相談ください。

運営: 合同会社5マイクロ / 監修: 子育てエビデンス研究所

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